化学センサー・超分子化学センサー
生体内では、図のリン酸結合タンパクに見られるように、アミドやグアニジンなど中性やカチオン性の水素結合部位で、 リン酸イオンを高い選択性と錯生成定数を持って認識しています。
私たちは、このような生体系のイオン認識、分子認識をモデルとして、認識部位を選択し、 認識の有無の情報変換機能として光誘起電子移動(PET: Photoelectron Energy Transfer)やexciplex、excimerなどの蛍光特性に着目し、 化学センサーとして機能する人口レセプターを設計・合成・機能評価しています。
イオン・分子認識したかどうかの変化をピレンの蛍光変化から読み取り、このピレンに認識部位としてクラウンエーテルやチオ尿素、 イソチオウロニウム、グアニジニウムなどを連結した一連の機能性分子を開発しています。 また、三元錯体や四元錯体の形成によって初めて蛍光変化が読み取れる超分子化学センサーも開発しています。
さらに、蛍光応答ばかりでなく、イオン添加で溶液の色が変わる“分子内電荷移動吸収の変化”を利用した酢酸イオンセンサーも開発しています。
このように、有機合成と分光法に基づいて、新規のイオン・分子認識システムの開発を進めています。