東北大学大学院理学研究科化学専攻分析化学研究室
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立体選択的光二量化反応



 海や山に出かけると日焼けします。海や山では紫外線の量が多くなります。

 生体に対する紫外線の効果でよく知られているものに、チミンの光二量化反応があります。 DNA鎖中にチミンが連続する箇所があると、2つのチミンが二量化して、シクロブタン環を作ります。 このチミン二量体は、DNAの修復や複製を阻害することになります。



 さて、私たちは、先に、ピロリン酸(リン酸の二量体)とピレングアニジニウムが1:2の錯体を作ってエキシマー蛍光を発生し、 このエキシマー蛍光の有無で、リン酸や酢酸などの他のイオンと区別して、ピロリン酸イオンを選択的に検出できることを報告しました(J. Am. Chem. Soc., 1999)。 この錯体の構造と、前記のチミンの光二量化にヒントを得て、チミンの光化学反応の立体構造制御に成功しました。

 チミンを溶液中で光二量化すると、cis-syn、cis-anti、trans-syn、trans-antiの4種の異性体が生成します。 チミンにイソチオロニウム基を導入し、ピロリン酸を共存させることで、ピロリン酸が鋳型として作用し、 syn型の異性体を選択的に生成させることができます。



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