東北大学大学院理学研究科化学専攻分析化学研究室
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グアノシン8量体 (Telomere, Guanine Quartet, Chiral Guanine Octet)



 ヒトの染色体の量末端には、グアニンとチミンを多く含んでいる“テロメア”(telomere)と呼ばれる部分があり、 この長さはDNA複製の度に短くなり、細胞分裂できる回数(寿命)をきめている時計と考えられています。




 テロメア部分ではDNA鎖が折りたたまれて、平面上の“グアニン4量体”(Guanine Quartet)が形成されます。 このグアニン4量体に着目した有機化学的アプローチとして、Davis教授らは、カリウムイオンを添加するとグアニン4量体が積み重なった構造をとり、 イオンチャネルのモデルとなることを報告しています。また、Sessler教授らは、嵩高い置換基を導入することでグアニンが糖の上に位置するsyn型構造をとると、 金属イオンがなくてもグアニン4量体を形成することを報告しています。




 さて、私たちは分子内水素結合によってsyn型構造を取る分子設計の元に、蛍光性ピレンで修飾したグアニン誘導体を合成しました。 面白いことに、この分子が、4量体ではなくキラルな8量体を形成することを見出しました。このことは、

  • 低濃度(μM)における分子会合によるエキシマー蛍光(excimer emission)の観測
  • 1H NMR滴定
  • NOR (Nuclear Overhauser Effect)
  • CD (Circular Dichroism)
  • 分子力学計算(Molecular Mechanics Calculation)

などから確認しました。 その構造は、グアニン4量体同士が8本の水素結合によって会合し (1H NMR, NOE)、反時計回りにねじれ(CDのCotton効果の符号が負)、 ピレニル基が重なり合っている(excimer emission)構造になっています。




 この8量体にシチジンやグアノシンの誘導体を添加すると、8量体構造が壊れ、エキシマー発行が弱くなり、モノマー蛍光が強くなります。 この蛍光強度変化を利用して、血清中の“クレアチニン”の定量分析を行いました。クレアチニンは腎機能のバイオマーカーで、 従来、酵素法とJaffe法という比色分析が行われています。従来法では、クレアチンや尿素などがクレアチニンの検出を妨害していましたが、 私たちのグアノシン8量体を用いた方法では、そのような妨害を受けることなくクレアチニンの分析が可能です。

 この8量体を配位子とする錯体での蛍光エネルギー移動の研究や液晶分子の開発なども行われました。



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